雲居 残月 の 小説道場

主に「小説家になろう」で書いた話を中心に、小説投稿をおこなっていきます。

4.全体の構成 -『三つ編み眼鏡ネットスラング:創作ノート』

 今回は、「部活の先輩の、三つ編み眼鏡の美少女さんが、ネットスラングに興味を持ちすぎてツライ」(以下、三つ編み眼鏡ネットスラング)の、「全体の構成」について書きます。

■ 部活の先輩の、三つ編み眼鏡の美少女さんが、ネットスラングに興味を持ちすぎてツライ
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 すでに本作品を読んでいる方はご存じだと思いますが、たまに挿話が入ります。この挿話の中では、時間軸が進んでいます。挿話以外の話(ネットスラングのやり取り)は、時間進行はありません。




● 成長譚

 物語は、始まりと終わりで、登場人物の内面が変化するものだと、私は考えています。特に長編だと、そうあるべきだと思っています。

 これは、それが必須というのではなく、完結する作品では、そうある方が望ましいというものです。完結しないことが前提の作品では、内面が変化しない方が、望ましいこともあります。

 では、「三つ編み眼鏡ネットスラング」はどちらかというと、その両方を描こうと考えています。

 変わらない日常と、変わっていく主人公の内面。本編で、ネットスラングにからめたコメディをしながら、挿話で、部活の一年を通した内面変化を描く。

 そのために、挿話での変化は、日常に影響を与えない変化にとどめる。挿話で主人公が成長しても、日常は繰り返し、どの断面を切っても話は相似になる。

 そういったことを考えて、「三つ編み眼鏡ネットスラング」は書いています。




● 終わらない日常と学園コメディ

 世代的に、「うる星やつら」や「究極超人あ~る」が念頭にあります。

 特に、「究極超人あ~る」は、強く影響を受けています。部長のモデルは、元々は鳥坂先輩です。

 また、そういった日常とともに、学園コメディとしての各種イベントがあります。

「三つ編み眼鏡ネットスラング」では、「終わらない日常」を、本編のネットスラングの話で描き、「学園コメディ」としての部分を、挿話で描いています。

 夏休み、文化祭、生徒会選挙などの各種イベント。それらとともに、何でもない一日の話も、各キャラに用意して、書いています。




● 挿話の入れ方

 実は苦心しています。フックとしてネットスラングで読者を呼んでいる作品なので、ネットスラングが出てこない回は、お気に入りが付きにくいです。

 当たり前と言えば、当たり前です。ネットスラングの小説と思って読みに来たら、ネットスラングの話が書いていないのですから。

 すでに何話も読んでいる読者にとっては「箸休め」の話でも、初見の人には「これじゃない」と思われてしまいます。それも、キャラの数だけ挿話が続くので、その間に、お気に入りの増加が、ぴたりと止まります。

 そこで途中から、挿話の時は、ネットスラングの話を間に入れるようにしました。これで、お気に入りの付く速度は、だいぶましになりました。




● 青春小説

 ネットスラング編は、主人公のサカキくんと、ヒロインの楓先輩の話です。

 では、挿話編はどうなのかと言うと、主人公のサカキくんと、師匠の満子部長の話です。

 挿話編は、青春小説です。それも、部活継承の話です。

 二年生で、部活で楽しむことだけを考えていた主人公が、三年生に向かうにあたり、自分が先輩になり、部活を率いていくことを考え始める話です。

 物語を書く際には、その物語が「自分の物語」であることが望ましいと思っています。それは、自分にとって関心のある話かどうか、ということです。

 週刊マンガ誌などで、徹底的に人気取りをするために描かれた作品でも、そこには気付かないうちに人生観が出る。興味を持っていることが反映する。

 作品というものは、そういったものである方がよいと思っています。面白いか、面白くないかはともかくとして。

「三つ編み眼鏡ネットスラング」の主題は、場の継承です。それは部活でも、趣味の場でも、会社でも何でもよいです。

 以下、個人的な話です。

 昔、後輩を上手く育てられず、同学年の人間で集まり、反省会をしたことがあります。その時のことが原体験としてあり、サカキくんと満子部長の話は組み立てられています。

 というわけで、作品の表側はサカキくんと楓先輩の話ですが、隠しテーマとしてサカキくんと満子部長の物語が入っています。



 というわけで、今回は「全体の構成」について書きました。